ドミノミクス(Dominomics)

Notes/Dominoに関わる様々な話題を提供することで、Notes/Domino+αの活性化を目指します!

最適化よりスピード化

Notes/Dominoが敬遠される理由の一つに「DBが乱立して統制が難しく、負の資産になりやすい」というものがあります。確かにNotesはEUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)に優れているため、部門などで個別にDBの開発が容易です。これが個別最適として効果を発揮しているうちは良いですが、ニーズの変化に伴うズレをカバーできないと、DBが負の資産と化してしまいます。要約すると「Notes → EUC → 個別最適 → 負の資産化 → デメリット」となります。極論すると「Notes = 個別最適 = デメリット」といった構図が見えてきますが、果たしてこれは正しいのでしょうか。

理想は全体最適だが、、、

個別最適が良いか?と問われると、YesとNoに回答が分かれると思います。一方、全体最適が良いか?と問われれば、全員Yesと答えるでしょう。このため、全体最適を目指すのが理想ですが、これは現実的ではありません。何故なら、最適化とは個別化を前提にしているからです。最適化の最大の目的は生産性ですが、これを実現するには、利便性を極めるカスタマイズが必要となり、個別化につながるからです。こう考えると、全体最適という万能な指標は存在しないのです。全体が対象ならば、標準化通化が優先され、個別の最適性は後回しとなります。しかし、日常業務では最適性はとても重要です。いくら標準化の為とは言え、生産性が落ちては元も子もありません。

システムを評価するとき、様々な指標が考えられます。NotesはEUCに代表される個別最適に優れたツールですが、時代はクラウド化という全体標準にシフトしてきています。この2つの指標は、どちらを優先させるべきなのでしょうか。また、他に優先させる指標はあるのでしょうか。 

スピードこそが究極の指標 

システムを比較するとき、機能、性能、コストなど様々な指標が挙げられますが、究極の指標はスピードではないでしょうか。例えば、70%の機能と性能のシステムでも、スピードが2倍であれば、100%の機能と性能のシステムより優れたものになります。同様に、コストが50%高としても、2倍のスピードを発揮できれば、トータルコストは安くなります。また、先行者利益の観点ではスピードこそが全てです。以上のように、様々な指標の中で最も優先されるのはスピードです。そして、スピードに求められる価値で最も効果的なものは、新しい価値だと思います。それまで無かったもの、新しいことを始めるスピードが究極の指標ではないでしょうか。

Notesと他社クラウド製品をスピードという指標で比較すると

クラウド化のメリットの一つにコストをよく耳にしましたが、最近はあまりコストメリットについて聞かなくなりました。一方、スピードの重要性は加速傾向にあり、この意味でオンプレNotesは不利と言えるでしょう。ただし、スピード化で実現できる範囲を分析すると、必ずしもクラウド化がスピーディとは言えません。それは、クラウド化は、メールや標準的なアプリの実装まではスピーディですが、個別のアプリケーション対応になると一気にスピードダウンするからです。どこまで実現するかを見極めて、トータスピードで比較検討することが重要となります。

スピードが最も遅いNotes移行

数多くのNotes移行に携わり、見聞きした経験から、Notes移行ほどスピードが遅いものはありません。事前検討や移行作業に莫大な時間と費用を費やし、挙句の果てに移行しきれないことがあるからです。さらに、移行できたとしても、スピード化の最大価値である「新しい価値の実現」が乏しい場合があります。折角時間とコストをかけるのであれば、移行というプラスマイナス0の作業ではなく、別の新しいプラスアルファを実現したほうが生産的です。よく「次期グループウェアを比較検討したい」という相談を受けますが、スピードを最優先の指標にしてみてはいかがでしょうか。個別の機能やコストを比較しても、製品毎に大した差はありません。しかしNotesで開発したアプリの置き換えに、莫大な時間がかかるのであれば移行はお勧めできません。スピードの観点から言える代替案は、そのアプリを辞めるか、他パッケージでの置き換えなどによる早期実現しかありません。

Notesはスピーディーか?

かつてNotesが元気だったころは、頻繁に機能改善、バージョンアップを続けることでスピードを実感できました。しかし、近年のNotesはスピードダウンしていると言わざるを得ません。そして、これこそが最大の弱点です。他社製品がスピードを上げて進化を続けても、Notesの動きは緩慢でした。いくら優れた製品であっても、スピードがなければ淘汰されてしまいます。進化論ではありませんが、優れたもの、強いものが生き残るのではなく、変化に対応できるものが生き残るのです。そして変化の対応こそスピードに他なりません。幸いVersion10の発表以来、にわかにNotes周辺が活気づき、スピードアップを実感できるようになりました。是非この実感が本物となり、スピードアップを実現して欲しい限りです。