ドミノミクス(Dominomics)

Notes/Dominoに関わる様々な話題を提供することで、Notes/Domino+αの活性化を目指します!

Notes移行の背景にあるもの

様々な理由からNotes移行を検討するケースがありますが、検討直後から、想像以上にハードルが高いことに気付きます。さらに移行を決行してみると、当初の想定と現実のギャップに悩ませることもあるようです。では何故このようなギャップが発生するのでしょうか。そしてどうすればギャップを埋め、理想に近づけることができるのでしょうか。

移行規模の算出が難しい

移行を実行するには、規模を算出して予算化する必要がありますが、この初期段階でつまずいてしまいます。規模を算出するには、①移行DB数②移行DBの難易度が必要です。ところが、部署毎にDBを管理している場合や、管理者が不明な場合は、全体を把握することが困難になります。また、難易度が高いDBは、移行規模の判断自体が困難となります。 さらに、移行DB数が多くなると、予算オーバーの莫大な規模が想定され、予算化自体が困難となります。 

f:id:majimajikojimajiko:20170715143556p:plain

難易度が低いDBでも移行が容易とは限らない

掲示板など難易度が低いDBなら移行が簡単かというと、Notes固有の機能(レプリカ、細かなアクセス・表示制御、リッチテキストなど)を補完することが難しく、なにかしらの制約がつきものです。まして複雑なDBでは、全ての機能の移行は考えない方が賢明です。良い意味でも悪い意味でも、Notesのアーキテクチャーは高度に独自的な為、全ての機能を他システムに移行することはほぼ不可能となります。このため、複雑なDBでは移行に拘るのではなく、作り直すくらいのドラスティックな対応が必要となります。 

f:id:majimajikojimajiko:20170715151531p:plain

Notes移行に何を期待し、何を目的にするのか

以上のように、Notes移行は難易度が非常に高いものです。この高いハードルを越えてもNotes移行をするには、その先に何を期待し、目的とするのでしょうか。最近のNotes移行の理由で多いのは「経営層からの指示」という、政治的な理由ですが、前回投稿の「投票」と「投資」は同じ行動原理でお話しした為、今回は割愛します。その他の理由として、「ツール変更の期待」や、「コスト削減の期待」といった理由があります。ただこれらを理由に移行してみると、想定した期待と現実とで乖離が発生する問題に直面することがあります。

①Notes機能的乖離では、Notesで出来ていたことが移行先で実現できない。②コスト的な乖離では、Notesと同等のことを実現すると、オールインワンのNotesの方にコストメリットがある、③現場運用の乖離では、運用管理者や利用者目線では、Notesの方が使いやすく(運用も容易)で生産性が高いなどです。そして、これらの乖離の溝を埋めることができず、結局は新システムとNotesの2重運用という非合理的な結果を招くこともあります。

f:id:majimajikojimajiko:20170717112312p:plain

失敗の原因は手段と目的のすげ替え

システムを更改する時、本来は理想となる目的があって、これを実現する手段としてツールの検討を行います。しかしNotes移行では、「Notes移行ありき」で検討が進む場合が多く、Notesで出来ないことばかりが注目されます。この結果、Notesで出来ることが正しく検討されず、不幸な乖離が後から発覚してしまいます。つまり、手段であるツール(Notes移行)を目的にすると、理想とする目的が曖昧になってしまい、結果として、Notes移行も、目的も達成もできなくなってしまいます。

本当にNotesで実現できないのか?劣っているのか?

Notesの機能的な劣位や、運用的な劣位をデメリットとして見聞きすることがありますが、本当にそうなのでしょうか?デメリットの多くは、競合他社のネガティブキャンペーンであったり、旧Notesバージョンの思い込みである場合が多いです。つまり、Notesでできないと言われていることの多くは、本当は実現可能で、Notes移行の理由にはならないということです。以下に、よく言われるNotesのデメリットと真実についてまとめてみます。それぞれ劣性と思われていることは、全てNotesで実現可能か優位であると言えます。

f:id:majimajikojimajiko:20170717191328p:plain

なぜNotesの移行が叫ばれ続けるのか?

他システムと比較して、機能面、運用、管理、コストのいずれを比較しても、劣っていない(むしろ優っている)Notesがなぜ移行ターゲットになるのでしょうか。最大の理由は、競合他社のネガティブキャンペーンです。これは、競合他社がシェアを奪うために、最大シェアのNotesを槍玉に挙げる戦法です。これにより、公平な評価がされないばかりか、Notes移行そのものが目的のように錯覚させられるのです。

f:id:majimajikojimajiko:20170715204942p:plain

移行を見極める3つのポイント

システム更改を考える時、ツールは手段であって目的ではないことが大前提です。そして何より、目的を明確にすることが最も重要となります。その上で、ツールのCapabilityと、Total Costを見極めることがポイントとなります。特に、Notesは他のツールと比較して非常に独自性が高いので、Notesで出来ることがが、他のツールで出来るとは限りません。この「できないこと」影響と補完を見誤ると、失敗の可能性が高くなります。

f:id:majimajikojimajiko:20170715210921p:plain

移行を決定するまでの5つのステップ

 移行を成功させるには、何といっても目的を明確にすることです。この時「イメージチェンジしたい」や「とにかくクラウド化したい」といった曖昧な目的はNGです。本当に実現したいことを目的として、これの実現方法としてツールの検討を行います。そして検討には、専門技術者の公平な判断が必要となります。営業の多くは不利なこと言わない傾向にあり、公平な比較検討ができない場合があります。コストの検討では、保守運用も含めた長期間のトータルコストで検討します。一般的にコストメリットが高いと思われるクラウドですが、実現したい機能や要望を積算していくと、結局オンプレミスより高価になる場合もあるので注意が必要です。最後に、総合的にロジカルに判断して移行を決定すれば、当初の想定から現実が乖離するという失敗は回避できます。

f:id:majimajikojimajiko:20170715213120p:plain

守りはもう十分。攻めに転じよう!

移行決定を上記5つのステップでロジカルに検討すれば、かなりの確率でNotesに軍配があがると思われますが、「これまでは」という条件がつきます。逆に言えば「これからも」という保証はありません。これまでのNotes であれば、圧倒的なポテンシャルだけでなく、急激な進化を続けることで未来を感じ続けてきました。しかし、ここにきてNotes進化のスピードが落ちてきたと言わざるを得ません。こうなると、会社のトップはNotesへの投資に慎重になってしまいます。なぜなら、投資は未来に対してするものだからです。いかにNotesのポテンシャルが高くとも、現状に甘んじ守勢でいても文字通り未来はありません。これを打破するのは「攻め」の一言です。具体的な行動としては、「ビジョン」と「プロモーション」です。未来へのビジョンを明確化し、これをきちんとプロモーションする両輪が必要です。経営者は、この両輪を実感して始めてNotesの投資に前向きになるはずです。

外圧より、内部対応に危機感を!

Notesネガティブキャンペーンという外圧が、Notes移行要因の一つであることは間違いありません。しかし、これが決め手という訳ではありません。何故ならネガティブキャンペーンの多くはNotesの現状に対してであり、投資基準の未来に対してではないからです。逆に言えば、どれだけネガティブキャンペーンで現状を否定されても、これを覆すビジョンが響けば、Notesは選ばれ続けます。振り返ってNotesはどうでしょうか?どうしても、未来志向のビジョンとプロモーションが不十分な気がしてなりません。事実この点を憂慮しているユーザーも多くいます。外圧を憂うより、内部から攻めの姿勢に変革していくことが最優先課題ではないでしょうか。