ドミノミクス(Dominomics)

Notes/Dominoに関わる様々な話題を提供することで、Notes/Domino+αの活性化を目指します!

ノーツコンソーシアム天城拡大理事会に参加して

11/23、11/24の2日間に渡って開催された「ノーツコンソーシアム天城拡大理事会」に参加しました。この会はノーツコンソーシアムで毎年開催されるもので、参加者はノーツコンソーシアムの理事、研究会リーダ、IBM Championsに加え、理事からの推薦者とIBM社員などとなります。会の目的は、ノーツコンソーシアム及び、Notes/Dominoに関わる様々なテーマや、今後の活動について討議を行うものです。

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今年のメインテーマは「Notes再始動!」

再始動というと「まるで止まっていたように思われそう」とのコメントもありましたが、ある意味その通りかもしれません。Notes/Dominoは9.0.1のバージョンで固定するという昨年の発表に対して、もう進化を止めると誤解した方も多かったようです。いくらFeature Packで進化を続けると言っても、分かりづらいと思います。かといって、先日発表されたVersion10も手放しでは歓迎されていないようです。「たった1年で重大方針を変えるとは信用ならん」というのがその理由です。いずれにしても、IBMは誤解されない発表をすると同時に、訂正する場合も納得できる説明が求められます。

ただ、何といってもNotes再始動。IBMNotes/Domino 2025 Roadmapとして次期Version10だけでなく、11,12,,14,15(13は避けるらしい)とバージョンアップし、継続的に投資を続けることをコミットしたことは、前向きなメッセージとして大きなインパクトがありました。

HCL社は、iPhone製造のホンハイのようなもの?!

しかし、このような前向きな発表においても「HCL社とパートナシップを組む」という一文に、「HCL社って何?」や「Notes/DominoをHCL社に売却するための序章?」といった誤解や憶測も多く聞かれました。HCL社はインドのソフト開発会社で、IBMだけでなくMSなど多くのプロダクトの開発を請け負っています。つまり、Notes/Dominoは今後もIBMブランドとして企画、販売を続けますが、開発の一部をHCLにアウトソースすることで、開発リソースを確保し、スピーディな対応を目指すものです。例えて言うなら、iPhoneAppleブランドですが、開発は台湾の「鴻海(ホンハイ)」が行っているのと同様です。この例えは理事会の場で聞いたものですが「なるほど、分かりやすい」と納得できました。

どうしてIBMの情報は分かりにくいのだろう?

 チーム討議の中で、情報発信の重要性がクローズアップされました。「Notes/Dominoは製品は良いのにイメージで負けてる」という話を良く聞きます。このイメージで負けるには、①他社からの攻撃②自社のアピール不足の2つの側面あります。IBMのポリシーで他社を攻撃することは御法度なため、①の対応が難しいのは理解できます。 しかし、②も不十分な気がしてなりません。しかも、昨年の9.0.1のバージョン固定の発表や、HCL社との関係の表明など、真意が伝わりにくく、誤解されることが多いです。さらに、IBMのHPから情報を探すのが困難極まりないという意見も多くあります。本当に「どうしてIBMの情報は分かりにくいのだろう?」もしかすると「アメリカ人には理解しやすいのか?」と思うほどです。Notes/Dominoは米国製なので、機能面は米国依存が大きいと思いますが、発表する情報は日本語なので、ここで改善ができるはずです。なので日本IBMさん、分かりやすい情報発信とプロモーションの強化をお願いします!

ノーツコンソーシアムでできること

ノーツコンソーシアムは、Notes/Domino活性化のために、研究会やイベント、情報発信など様々な活動をしています。しかし、地方との温度差、会員メリットの強化、さらなる情報発信など、課題が山積しています。対策としては、地方への情報発信強化、競合他社の誤ったNotes情報に対するカウンター情報の発信や、プロモーション活動の拡大などが検討されました。しかしリソースは限られており、担当者の負荷も相当なものです。今後、来年度の活動にむけて具体的なミッションにブレークダウンされることになると思いますが少し時間がかかります。そこで、直近できることとして、参加者全員がDomino2025JAM』にエントリーすることになりました。

https://www.ibm.com/social-business/us-en/announce/domino-jam2025/

日本とドイツはNotes/Dominoに対する要望が強く、声が届きやすいとも言われています。Domino2025JAMに参加して、今後のNotes/Dominoの未来を創出しましょう!

今月はセミナーで頑張ります!

前回の投稿で「Notes/Dominoに関連する動きが活発化している」と紹介しましたが、私も負けてませんよ!11月は「Notes Festa 2017」と「ノーツコンソーシアムオープンセミナー 2017」で講演をいたします。

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 Notes Festa2017

毎年リコージャパンで開催している「Notes Festa」ですが、今年も11/10(金)に開催します。Notes Festa 2017 / イベント・セミナー | リコ

このセミナーでは、今のNotes環境を活かしながら、より時代のニーズにあった環境と活用方法をご紹介しています。セッションは、「ユーザー視点で考える Notes/Domino」「クラウド活用とセキュリティ対策」「RPAの概要とNotesクライアントを利用したデータ連携」などの紹介をいたします。ちなみに私は、WatsonDACモダナイゼーションをテーマに講演いたします。

そして急遽「Notes/Domino 10を含む将来構想のアナウンスメント」が、最後のセッションに追加されました!急遽ということで、リンクのセミナー情報には無いのですが、Version10発表後、IBMよりNotes/Dominoの将来構想について聞ける、恐らく最も早いイベントです。この機会をお見逃し無いよう、ご来場のほど宜しくお願いいたします。

ノーツコンソーシアムオープンセミナー 2017

こちらも毎年ノーツコンソーシアム主催で開催されているイベントですが、今回のテーマは、「『ノーツでモバイルファースト』 =モバイルなくして働き方改革はない!!」です。

【オープン:申込受付中】ノーツコンソーシアムオープンセミナー 2017 (11/15) | ノーツコンソーシアム

私は、働き研のリーダーとして『今日からできる「働き方改革」-成功へ導く3つの本質的着眼点 』をテーマに講演いたします。働き方改革と言うと「どうせIBMのツールのよいしょでしょ?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。働き研のメンバーが半年を費やして議論や、活動を通した成果となります。そもそも働き方改革って何? なぜするのか? 本当に必要な事は何? そして今日からできる働き方改革についてご紹介いたします。もちろん、Notes/Dominoと働き方改革の関係についても解き明かしてます。一粒で三度、四度くらい美味しい内容となっていますので、こちらも是非ご来場いただけることを心待ちにしています!

 今回の投稿は終始宣伝となってしまいましたが、それだけNotes/Dominoに関連するプロモーションの機会があることを嬉しく思っています。まだまだやること、やれることがあります。It's a Dominomics!

 

祝!Notes/Domino Version 10発表!!

本当に待ち望んでいたニュースが飛び込んできました!

2018年中に IBM Notes/Domino の次期メジャー・バージョン(Version 10) をリリースするとの発表がありました!カラーリングも、きいろ~と~♪く~ろは、勇気のしるし~♪♪のロータスカラーで、勇気・やる気・元気いっぱいです!!

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IBM Announces Investment in Notes Domino Version 10 and Beyond - Social Business Spotlight Blog

 Notes/Dominoに関連する動きが活発に

ここ最近、Notes/Dominoに関連する動きが活発化しています。9月19日の「IBM Notes/DominoDay 2017 in Tokyo」では、数年ぶりに"Notes/Domino"を冠につけたIBMのイベントが開催されました。私も参加しましたが、会場が満員になるほどの盛況で、後日IBM関係者に聞いたところ、申込者の約9割が出席したとこのことです。一般的に無料セミナーの平均出席率が7割程度と言われる中、9割というのは驚異的です。それだけ関心が高いと言えます。

このイベントの目玉はDAC(IBM Domino Applications on Cloud)でしょう。詳細の説明は割愛しますが、これまでメールに限定されていたCloud(SaaS) ソリューションに、アプリケーション領域が加わることで、NotesのAllクラウド化への道ができたという意味でも画期的な出来事です。 また、Notes/Dominoの新バージョンにつて何かの発表を2018年にすると匂わせていましたが、こんなに早く、しかもVersion10という最もインパクトのある形で発表となったことは、まさにサプライズです!

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DACでも、ロータスカラーの黄色をベースとなっているのは、嬉しい限りです♪

WatsonとBluemixにも動きが

10/25に米IBMより、アマゾンに対抗しWatsonを無料化するという発表がありました。もちろんWatsonの全てを無料化する訳ではありませんが、Watsonを促進、活性化させる意味で、とても効果的であると思います。

さらに、クラウドのブランド名称をBluemixからIBM Cloudに名称すると発表。この領域のブランド名は、SoftLayerIBM Bluemix Infrastructureと変遷し、IBM Cloudに変わりました。個人的には、Bluemix Infrastructureという名称に違和感があったので、IBM Cloudという名称はシンプルで分かりやすく、好感をもっています。

いずれにしても、IBMが現在最も力を注いでいる「Watson」「Cloud」領域、そして「Notes/Domino」に大きな動きがあったことは、IBMの本気度を伺い知ることができ、プロモーションとしても好ましく大歓迎です!!

なんといってもNotes/Domino 10

 そして、なんといってもNotes/Domino 10の発表です。この発表を通じて、IBMはNotes/Domino、Verseへの継続的な開発体制に投資を続けることを約束しています。また、Notes/Dominoへの投資継続においては、将来の計画、機能拡張などへのアイデアを募る JAM として『Domino2025JAM』が開催しました。2025というのが良いですね。未来表現することで、Notes/Dominoの将来に明るい希望を感じることができます!

https://www.ibm.com/social-business/us-en/announce/domino-jam2025/

Domino2025JAM参加における制約はなさそうで、ユーザー、ビジネス・パートナーは問われないようです。あ、大きな制約が漏れてました「英語での参加が条件」となります。もし、このブログを読んで「意見はあるけど、英語はダメだ・・・」と思った方は、このブログのコメントとしてアイデアを投稿してみてはいかがでしょうか。かく言う私も英語はからきしですが、つてを使ってでも何とかしようと思います!

少し前のブログのにも投稿しましたが、もう守りはたくさんです。今こそNotes/Dominoで攻めに転じましょう!It's a Dominomics!

Webセミナー「Verseハイブリッド・クラウド」について紹介しました

先日(9月21日)、日本IBM様のご協力をいただき、Webセミナーを開催させていただきました。タイトルは、『今のNotes/Dominoでご満足ですか?新たなトレンド「ハイブリッド・クラウド」の構築術』です。メインテーマはハイブリッド・クラウドですが、この他にもNotesで良く聞く3つの不安、①バージョアップしない?②Web化対応が困難?③クラウド対応が不十分?についての誤解を解き明かし、安心してNotes/Dominoを継続するだけでなく、更なる有効活用についてご紹介いたしました。

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今回のWebセミナーは、IBMサイトのココ→ 録画情報から視聴可能ですので、是非アクセスしてみてください。

以上、長々と宣伝してしまいましたが、ここからはブログならではの裏話を紹介しようと思います。

実は2回目のWebセミナー

Webセミナーの経験は今回2回目となります。人生初のWebセミナーは今年6月6日でしたが、これがあまりにヒドイものでした。。。これまで登壇形式のセミナーは何度か経験してきましたが、ドモリながらも勢いで逃げ切れてきたと思っています。しかしWebセミナーでは、得意なはずの勢いが全く発揮できず、放送事故級に喋れなくなってしまいました。目の前に聴衆が居なく気楽と考えていましたが、実際は聴衆が居ないことで反応が読めず、全くペースを掴めずに大撃沈しました。本当に辛い思い出ですが、聞いていた方々はもっと辛かったと思います。本当に申し訳ございませんでした、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

Webセミナーで気をつけること

前回の大失敗を踏まえて、様々なアドバイスをいただきました。まず、Webセミナーは普通のセミナーより難しいということです。聴衆が居ない方が気楽と考えていましたが、それが大間違い。人がいた方がペースや間が取れるので、サクラでも良いので誰かを付けるといいそうです。次に話す内容は、アドリブがきかないのであれば、原稿読みの方が良いということです。今回のWebセミナーは、声のみで顔は出ない形式であったため、原稿を読む形式に変更しました。そして、なんといっても練習(レビュー)が大切です。これに関しては、社内だけでなくIBMの松田様のご協力までいただきました。本当に有難うございます。

それでもやっぱり反省点

多くの方々に協力いただき、前回よりはだいぶ良くなったWebセミナーですが、それでも反省点も多くあります。まず、原稿を読む形式にしたにも関わらず、噛み噛みで、お聞き苦しい点が多々ありました。まだまだ練習不足ですね。ちなみにリハーサルの時、原稿を捲る紙の音が耳障りとの指摘がありました。当日の原稿はクリアファイルでカバーし、カサカサ音がしないよう工夫しました。また、動画のタイミングのズレや、解像度に起因すると思われる不自然な改行もありました。

まだまだ改善点が多く反省は尽きませんが、次回のWebセミナーも企画しています。そちらもご聴講いただき、ご評価いただけると幸いです。

<番外編2> ビブリオバトルをご存知ですか?

前回の番外編と同様、今回も趣味の「読書」に関連したお話をしたいと思います。読書における最大の関心事と言えば、どうやって面白い本に出会うかではないでしょうか。以前の投稿では、この手段として本屋大賞ブクログを紹介しましたが、今回はビブリオバトルについて紹介しようと思います。

ビブリオバトルとは?

ビブリオバトルとは、参加者がお気に入りの本を持ち寄り、その面白さを5分間プレゼンテーションし、どの本が一番読みたくなったかを多数決で決定する書評大会です。ビブルオバトルは2007年に京都大学で発祥し、現在は学生を中心に全国に広がっています。ちなみに「ビブリオ(Biblio)」は「本、書物」を意味する接頭辞で、ラテン語の「biblion(本)」に由来する言葉だそうです。

ビブリオバトルの魅力

最大の魅力は、参加者となってお気に入りの本をプレゼンすることでしょうが、今回は聞き手の立場からその魅力を紹介いたします。まず何と言っても、面白い本に出会える機会です。"ビブリオバトル"で検索すれば、沢山の動画がヒットしますので、きっと直ぐに興味を持つ本に出会えることでしょう。以下のリンクは2015年の首都決戦決勝のものです。紹介されている本は、社会派の固い本もありますが、「人生ドラクエ化マニュアル」という「お?」と思う本の紹介もあります。ちなみに、ドラクエ化マニュアルの紹介者は年に1冊程度しか本を読まないそうで、本好きでない人でも十分楽しめると思います。

もう一つの魅力はプレゼンの勉強になります。言葉のみのプレゼンを、5分間という短時間で行うのはかなりのスキルが必要です。いかに「読みたい」と思わせるか、興味を持たせるかは、プレゼンの基本力だと思います。英語のTED視聴に疲れたら、日本語のビブリオバトルを覗いてみてはいかがでしょうか。

Notes/Dominoの魅力をいかにして伝えようか

私がビブリオバトルに惹かれるもう一つの理由は、とても純粋であるという点です。バトルなので勝つためには相手を攻撃することも考えられますが、そんなことは一切ありません。100%純粋に、自分が推す本の良い点をアピールする姿勢は、聞いていてとても気持ち良いです。そこでふと思ったのが、こんな姿勢でNotes/Dominoをアピールできたら良いのにな~と。グループウェア更改では、しばしば製品比較(攻撃)や、イメージ、政治的アプローチなど、本来の良さ以外で決まることがあります。でも本当に大切なことは、良い点や魅力を正しく伝えることだと思います。学生のプレゼンを聞きながら、自身の未熟さを反省するとともに、良い点だけ決まるほど世の中甘くないと、ひねたことを考えていました。

Notesで攻めのITを実現しよう!

前回の投稿で、今Notesに必要なことは「守りより攻め」と強調しておきながら、具体的な例が無かったので、実例を示して欲しいと多くの人からコメントをいただきました。個人的な意見では、Notes/Domino10という新バージョンが最大の攻めです・・・が、これは私がどうこうできることではないので除外します。もう一つの攻めの事例として、最近急激に導入が進んでいるオンプレNotesとクラウドVerseのハイブリッド・クラウド環境について紹介したいと思います。

時代はクラウドファースト

今のご時世、クラウドを抜きにITを検討することはできません。そんな中、Notesユーザーの環境はオンプレミスがまだまだ大勢です。多くのNotesユーザーはクラウド化を検討しますが、アプリケーションを含むフルクラウド化はとてもハードルが高いことも事実です。そこでメール基盤のみをクラウド化する、オンプレとクラウドのハイブリッド移行が急激に進んでいます。

クラウドに何を求めるか

一言でクラウドと言っても、コスト、スピード、利便性、運用、セキュリティ、耐障害性など、その目的は様々です。その一方、クラウドは万能薬と言う訳では無いので、クラウド化自体を目的にすると思うような成果が出ないこともあります。例えば、クラウドはローコストという思い込みで移行を進めると、期待したサービスを実現できない場合があります。逆に、サービスの充実を図るとコスト超過となり、ローコストを実現できなくなります。ここで最も重要なことは、何を目的にクラウド化するです。誰もが、現状のサービスレベルは維持しようと考えますが、オンプレNotesが持つサービスレベルが高い為、同一レベルをクラウドで実現することは困難です。つまりクラウド化の目的をNotesの完全移行とすると、コストメリットを満足させるソリューションは存在しません。そのためクラウド化では、Notes完全移行を目的にするのではなく、クラウドのメリットを生かしたソリューションを目的にし、ある程度のNotes断捨離をする覚悟が必要です。しかしながらNotes断捨離による影響が大きすぎ、許容できない場合もあります。そんな時にお勧めなのが、メール基盤のみをクラウド化し、オンプレNotesは維持するというハイブリッド・クラウドです。

クラウドメールは何でも良いのか?

クラウドメールであれば、Notesに限らず他社製品でも実現することも可能です。事実アプリケーションはNotesを継続し、メールのみ他社サービスに置き換える事例もあります。しかし、この方式では二つの大きなデメリットがあります。一つは、ライセンスの2重投資。もう一つは、Notes環境との親和性の問題です。ライセンスの2重投資とはメールとアプリケーションで異なる製品を使えば、当然ライセンスも別々になるデメリットです。Notes環境との親和性の問題とは、Notes固有の文書リンクなどの機能や、ユーザー管理などを有効活用できないデメリットです。そこで、これらのデメリットをズバッと解決してくれるのが、クラウドメールをVerseに移行するソリューションです。この方式であれば、ライセンスの一本化とNotes環境の親和性を確保するだけでなく、オンプレのサーバーライセンスが不要となるおまけまで付きます。このメリットが浸透してきて、オンプレNotesとクラウドVerseのハイブリッド・クラウド環境への移行が急速に普及しています。

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クラウド利用に伴う安全対策

オンプレミスという社内のクローズドな環境であれば問題無くても、クラウドというオープンな環境を利用するのであれば、セキュリティを始めとする、様々な対策が必要となってきます。外部接続に伴うセキュリティ対策、デバイスやIDの管理、はたまたメールの安全性や訴訟対策など、オープン環境故の堅牢な防御が必要となります。ここでは具体的なサービスの紹介は割愛しますが、先ずは安全第一で守りを固めるのが先決となってきます。

クラウド利用に伴う攻めの対策

今回のテーマが「攻め」ということなので、先ずはメールのクラウド化で攻めを実現しますが、アプリケーションも攻めてみましょう。クラウドメールは、Web、モバイル対応となりますので、アプリケーションも同様の対策をしてみましょう。ここで考えて欲しいのが、NotesのWeb化対応です。10年以上前からNotesのWeb化について様々なアプローチがされてきましたが、なかなかハードルが高いです。ハードルが高い最大の要因は、Web化対応コストです。Notesクライアント廃止を目的として全機能をWeb化すると、かなりのコストがかかることから、現状維持という守りになりがちです。そこでWeb化のアプローチを、クラウドメール利用に伴うモバイル対応に視点を変えてみてはどうでしょうか。モバイル端末であれば画面サイズや入力の制限から、PCで利用するようなフル機能は不要となってきます。つまり、モバイル対応であればWeb化する機能を絞り込むことで、開発コストを抑えることが可能です。しかも、ノーツアプリケーションを簡単にモバイル対応させるパッケージ(smaconne)もあるので、より早く安くモバイル対応することもできます。

さらにWeb化で必要となるのが、Webコンテンツをまとめるポータルです。ポータルについても10年以上前から様々なアプローチがされてきました。しかし当時は、コスト面や、機能や見た目がいまいちで普及が進みませんでした。しかし最新のNotesポータルパッケージ(Liveness Portalは、お手頃なコストで機能と見た目を進化させており、これも普及が進んできています。

サードパーティー製品を活用した攻めのNotes

上記のように、Web化、モバイル化、ポータルにおいて、サードパーティー製品を利用することは最も効果的な攻めの対策の一つ言えます。さらに、Notes標準ではあまり評判の良くないグループスケジューラを圧倒的に進化させたパッケージ(OnTime)や、Web開発のプラットフォームを提供するモダナイゼーション対応製品(aveedo)など、様々なソリューションがサードパーティから提供されています。これらを積極的に活用することで、ワークスペースのDBアイコンをクリックするだけの従来のNotes活用から、活用シーンを拡張した攻めのNotes環境を実現することができます。

これまでは、ハードやソフトウェアのサポート切れに伴う消極的なNoteバージョンアップ対応が多かったかもしれません。しかしこれからは、Notesに新たな使い方を付加した攻めのITを実現してみてはいかがでしょうか。 

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Notes移行の背景にあるもの

様々な理由からNotes移行を検討するケースがありますが、検討直後から、想像以上にハードルが高いことに気付きます。さらに移行を決行してみると、当初の想定と現実のギャップに悩ませることもあるようです。では何故このようなギャップが発生するのでしょうか。そしてどうすればギャップを埋め、理想に近づけることができるのでしょうか。

移行規模の算出が難しい

移行を実行するには、規模を算出して予算化する必要がありますが、この初期段階でつまずいてしまいます。規模を算出するには、①移行DB数②移行DBの難易度が必要です。ところが、部署毎にDBを管理している場合や、管理者が不明な場合は、全体を把握することが困難になります。また、難易度が高いDBは、移行規模の判断自体が困難となります。 さらに、移行DB数が多くなると、予算オーバーの莫大な規模が想定され、予算化自体が困難となります。 

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難易度が低いDBでも移行が容易とは限らない

掲示板など難易度が低いDBなら移行が簡単かというと、Notes固有の機能(レプリカ、細かなアクセス・表示制御、リッチテキストなど)を補完することが難しく、なにかしらの制約がつきものです。まして複雑なDBでは、全ての機能の移行は考えない方が賢明です。良い意味でも悪い意味でも、Notesのアーキテクチャーは高度に独自的な為、全ての機能を他システムに移行することはほぼ不可能となります。このため、複雑なDBでは移行に拘るのではなく、作り直すくらいのドラスティックな対応が必要となります。 

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Notes移行に何を期待し、何を目的にするのか

以上のように、Notes移行は難易度が非常に高いものです。この高いハードルを越えてもNotes移行をするには、その先に何を期待し、目的とするのでしょうか。最近のNotes移行の理由で多いのは「経営層からの指示」という、政治的な理由ですが、前回投稿の「投票」と「投資」は同じ行動原理でお話しした為、今回は割愛します。その他の理由として、「ツール変更の期待」や、「コスト削減の期待」といった理由があります。ただこれらを理由に移行してみると、想定した期待と現実とで乖離が発生する問題に直面することがあります。

①Notes機能的乖離では、Notesで出来ていたことが移行先で実現できない。②コスト的な乖離では、Notesと同等のことを実現すると、オールインワンのNotesの方にコストメリットがある、③現場運用の乖離では、運用管理者や利用者目線では、Notesの方が使いやすく(運用も容易)で生産性が高いなどです。そして、これらの乖離の溝を埋めることができず、結局は新システムとNotesの2重運用という非合理的な結果を招くこともあります。

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失敗の原因は手段と目的のすげ替え

システムを更改する時、本来は理想となる目的があって、これを実現する手段としてツールの検討を行います。しかしNotes移行では、「Notes移行ありき」で検討が進む場合が多く、Notesで出来ないことばかりが注目されます。この結果、Notesで出来ることが正しく検討されず、不幸な乖離が後から発覚してしまいます。つまり、手段であるツール(Notes移行)を目的にすると、理想とする目的が曖昧になってしまい、結果として、Notes移行も、目的も達成もできなくなってしまいます。

本当にNotesで実現できないのか?劣っているのか?

Notesの機能的な劣位や、運用的な劣位をデメリットとして見聞きすることがありますが、本当にそうなのでしょうか?デメリットの多くは、競合他社のネガティブキャンペーンであったり、旧Notesバージョンの思い込みである場合が多いです。つまり、Notesでできないと言われていることの多くは、本当は実現可能で、Notes移行の理由にはならないということです。以下に、よく言われるNotesのデメリットと真実についてまとめてみます。それぞれ劣性と思われていることは、全てNotesで実現可能か優位であると言えます。

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なぜNotesの移行が叫ばれ続けるのか?

他システムと比較して、機能面、運用、管理、コストのいずれを比較しても、劣っていない(むしろ優っている)Notesがなぜ移行ターゲットになるのでしょうか。最大の理由は、競合他社のネガティブキャンペーンです。これは、競合他社がシェアを奪うために、最大シェアのNotesを槍玉に挙げる戦法です。これにより、公平な評価がされないばかりか、Notes移行そのものが目的のように錯覚させられるのです。

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移行を見極める3つのポイント

システム更改を考える時、ツールは手段であって目的ではないことが大前提です。そして何より、目的を明確にすることが最も重要となります。その上で、ツールのCapabilityと、Total Costを見極めることがポイントとなります。特に、Notesは他のツールと比較して非常に独自性が高いので、Notesで出来ることがが、他のツールで出来るとは限りません。この「できないこと」影響と補完を見誤ると、失敗の可能性が高くなります。

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移行を決定するまでの5つのステップ

 移行を成功させるには、何といっても目的を明確にすることです。この時「イメージチェンジしたい」や「とにかくクラウド化したい」といった曖昧な目的はNGです。本当に実現したいことを目的として、これの実現方法としてツールの検討を行います。そして検討には、専門技術者の公平な判断が必要となります。営業の多くは不利なこと言わない傾向にあり、公平な比較検討ができない場合があります。コストの検討では、保守運用も含めた長期間のトータルコストで検討します。一般的にコストメリットが高いと思われるクラウドですが、実現したい機能や要望を積算していくと、結局オンプレミスより高価になる場合もあるので注意が必要です。最後に、総合的にロジカルに判断して移行を決定すれば、当初の想定から現実が乖離するという失敗は回避できます。

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守りはもう十分。攻めに転じよう!

移行決定を上記5つのステップでロジカルに検討すれば、かなりの確率でNotesに軍配があがると思われますが、「これまでは」という条件がつきます。逆に言えば「これからも」という保証はありません。これまでのNotes であれば、圧倒的なポテンシャルだけでなく、急激な進化を続けることで未来を感じ続けてきました。しかし、ここにきてNotes進化のスピードが落ちてきたと言わざるを得ません。こうなると、会社のトップはNotesへの投資に慎重になってしまいます。なぜなら、投資は未来に対してするものだからです。いかにNotesのポテンシャルが高くとも、現状に甘んじ守勢でいても文字通り未来はありません。これを打破するのは「攻め」の一言です。具体的な行動としては、「ビジョン」と「プロモーション」です。未来へのビジョンを明確化し、これをきちんとプロモーションする両輪が必要です。経営者は、この両輪を実感して始めてNotesの投資に前向きになるはずです。

外圧より、内部対応に危機感を!

Notesネガティブキャンペーンという外圧が、Notes移行要因の一つであることは間違いありません。しかし、これが決め手という訳ではありません。何故ならネガティブキャンペーンの多くはNotesの現状に対してであり、投資基準の未来に対してではないからです。逆に言えば、どれだけネガティブキャンペーンで現状を否定されても、これを覆すビジョンが響けば、Notesは選ばれ続けます。振り返ってNotesはどうでしょうか?どうしても、未来志向のビジョンとプロモーションが不十分な気がしてなりません。事実この点を憂慮しているユーザーも多くいます。外圧を憂うより、内部から攻めの姿勢に変革していくことが最優先課題ではないでしょうか。